Q5.空の明るさの他に、皆既日食が金環日食と違うのはどんな点ですか?
A5.何より違うのはコロナやプロミネンスが見えることです。コロナはその一番明るいところでも満月程度の明るさしかありませんが、真珠色に輝く流線(りゅうせん・ストリーマー)の美しさは例えようもありません。皆既日食はこの世で最も美しい現象だ、と言った人がいます。感受性の強い人は、感動のあまり涙が止まらなくなるほどです。古い本ですが、柴田淑次氏の文章を引用しましょう。「皆既日食の光景は到底筆に尽くせるものではなく、又語り終せるものでもない。写真に見るコロナの有様は、あたかも死せる英雄を見る如く目のあたりに何の発刺さをも感じない。百聞は一見に如かずとか」(「太陽−日食と月食」恒星社厚生閣発行、昭和15年)
プロミネンスは日食でなくても、特殊な機械(プロミネンスアダプターなど)を使えば見ることができます。しかし、プロミネンスアダプターで見る時は赤く見えるプロミネンスも、日食の時にはピンクに近く見え、何よりもその輝きが鮮やかでコロナの色と美しい対照をなします。
その他、金環食には見られずに皆既食だけに見られるものは、ダイアモンドリング、本影錐、シャドーバンド、惑星や恒星、赤く染まった地平線などがあります。
このように見ていくと、皆既食が金環食といかに違うかがわかるでしょう。当然、興奮と感激の度合もけた違いに大きくなります。
プロミネンス ( 赤い炎のようなもの )

撮影:石井 馨
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